小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第2弾)

『プログラミング的思考』を養うために必要な学習機会とは

前号から引き続き「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」に記載されている内容ついて解説します。

前号では、手引に掲載された「小学校段階のプログラミングに関する学習活動分類」の中でも「A分類」を取り上げて具体的な例をもとに解説しました。

では、小学校では最低限「A分類」のみ実施すれば良いのでしょうか?手引では「学習指導要領に例示した単元等に限定することなく、多様な教科・学年・単元等において取り入れることが可能」であり、「各学校において工夫してたような教科・学年・単元等に適切に取り入れていくことが望まれます。」とあります。

「B分類」では、例示されていない教科においても、教科の内容を指導する中で適宜プログラミング教育を実施することを求めています。

出前授業のメニューの中に、「B分類」を想定したものは入っていませんが、アレンジして取り入れることは可能ですので、是非ご相談ください。

ここでは、公開されている実践事例より具体例をご紹介します。

B-① 「しかけ」のある物語づくり(国語3年)

まずは物語の構成や、「しかけ」になるキーワードを考え、絵コンテを作ります。それに基づき、実際の動きをScratch Jrを使ったプログラミングで表現していきます。「プログラミングができること」が重要ではなく、プログラミングで表現するためには、元となる物語をより深く理解し、伝えたい内容を明確にする必要性が生まれるため、ねらいに向かう意識が高まります。(次コーナーで詳しくご紹介) •

B-② micro:bitで旋律づくり(音楽4年)

教科書を参考に4小節分の旋律をプログラミングで作り、グループの5人で合奏を楽しむというものです。

micro:bitの機能を試しながら、どのようにすればクラスでタイミングのあった合奏にできるかを相談し、方法を確立。音楽の苦手な児童も「合奏が楽しい」と感じることができたり、人の良さ、プログラミングの良さを話し合ったりと、気付きの多い授業となっています。

参考サイト::micro:bitで旋律づくり~小学校音楽プログラミング~

(初出「こどもプログラミング通信」第14号 2018年6月29日発行)

「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が公開

文部科学省は新しい小学校学習指導要領におけるプログラミング教育の円滑な実施に向け、小学校プログラミング教育の手引を取りまとめました。

この手引は、先生方がプログラミング教育に対して抱いている不安を解消し、安心して取り組めるように目指しています。既に公開されている学習指導要領や解説から、プログラミング教育に関する話題を改めて集め、経緯が詳しく解説されています。また、できる限りプログラミングに関する専門用語を用いず、平易な表現で書かれているのが特長です。

また、改めてプログラミング教育の狙いとしては、以下の点が挙げられています。

  1. 「プログラミング的思考」を育むこと。
  2. プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気づくことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと。
  3. 各教科等での学びをより確実なものとすること。

さらに、企業・団体や地域等との連携例も紹介されています。より進んだ学習をしたい子ども達がどう学ぶかを考えるため、役立つ情報となることでしょう。

また、最後の方には「Q&A」も設けられています。特定の教科だけでなく、どの教科においてもプログラミング教育を取り入れられることや、コンピュータを用いない指導についてなど、これまでのプログラミング教育導入にあたり多々議論されたことが改めて整理されているのが特長です。

参考サイト:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm

(初出「こどもプログラミング通信」第12号 2018年4月19日発行)

小学校プログラミング教育に関する意見交換会が実施

11月9日、一橋大学(東京)で小学校プログラミング教育に関する教材開発者と教育専門家の意見交換会(主催:文部科学省)が実施されました。文部科学省から新学習指導要領におけるプログラミング教育についての説明の後、教育委員会や総務省の取り組みの説明、そして参加者との意見交換が実施されています。

冒頭では文部科学省から、新学習指導要領とプログラミング教育について解説がありました。今回の改定ポイントは、情報活用能力に対して、初めての記載がありました。ICT環境の整備・活用や、文字入力など基本的な操作の習得だけでなく、プログラミング的な思考(論理的な思考)についても触れられています。

教材開発者に対しては、プログラミングの狙いとして、以下の3点を上げています。

  • プログラミング言語、技能を覚えるものではない
  • 社会が情報技術によって支えられているのに気づく
  • コンピュータを活用し、社会を築いていく態度を育む

教育事例では、千葉県柏市と神奈川県相模原市の取り組みが紹介されました。

柏市は平成28年7月に取り組みを市長が表明し、平成29年からプログラミング教育を先行実施されています。授業は担任と市が派遣したICT支援員とで行われています。算数の多角形や、理科の手順を(紙の上で)フローチャート化する取り組みが紹介されました。

相模原市では、4年生の算数において、数の表現の仕方や、四捨五入でおおよその数を割り出すロジックについて学ぶ紹介がありました。6年生の理科では、発電と電気の利用(学習指導要領にある事例を実現したもの)として、人を感知するとLEDが点灯する仕組みを学ぶ紹介がありました。

後半は意見交換会でした。参考になる質疑・応答をご紹介します。

質問:小学校段階で目指すレベルはどのくらいですか

回答:プログラミング的思考を育むこと、コンピュータ利用は便利で楽しいと理解すること、各教科の学習で実際に使うことが趣旨です。プログラムを書く技術の習熟が目的ではありません。

質問:どのように子ども達を評価したらよいのでしょうか

回答:論理的思考力を育む視点から、良さに気が付いた・理解できたかを評価します。プログラミングの出来・不出来は評価の対象としません。

質問:プログラミング教育にコンピュータは必須ですか

回答:コンピュータを用いなくてもプログラミング的思考の指導は行えます。しかしながら、プログラミングは体験して欲しいですし、その上で、コンピュータの楽しさを知ってもらいたいと考えています。

(初出「こどもプログラミング通信」第8号 2017年12月12日発行)

正解は1つではない~プログラミング的思考の評価基準とは?

新しい学習指導要領が公示され、平成32年度(2020年)からプログラミングに関する授業の実施が正式に決まりました。コンピュータに意図した処理を行うよう指示できる、そのような体験を通して、子どもたちのプログラミング的な思考を育むのが目的です。

他の一般教科とは異なり、答えがない問題に対しての取り組み。そうなりますと、子どもたちをどのように評価したらよいのか、お悩みの先生もいらっしゃると思います。

このような状況の中、ベネッセは「プログラミングで育成する資質・能力の評価基準(試行版)」を発表しました。文部科学省が学習指導要領で示したプログラミング教育の定義をもとに、求められる資質・能力として3つの柱を提示しています。さらに具体的に各学年ごとに応じた目標を設定しているのが特長です。

発表された評価基準はインターネットを通してダウンロードできます。今後さらに実証授業をとおした改善をすすめるとのこと。

授業の方向性検討とあわせて、今後の参考のためにご覧になってはいかがでしょうか。

サイト:http://progstd.org/

(初出「こどもプログラミング通信」第4号 2017年7月20日発行)

プログラミング教育出前授業が始まりました

6月から出前授業がスタート& 引き続きお申し込みを受付中です

さくらインターネットは4月からプログラミング出前授業の受付を開始し、6月から出前授業を開始しました。教育委員会の皆さまからのご指導・ご協力のもと、 各学校の先生方と授業内容を相談しながら、 子どもたちの状況にあわせた授業内容を検討・実施しています【表1】。

引き続き出前授業のお申し込みを受け付けています。 出前授業に関する Q&A は前回のプログラミング通信(第2号)の裏面も併せてご参照ください。

プログラミング教育とプログミング的思考

今年3月に文部科学省から公示された新学習指導要領では、情報活用能力という文言が明記されました。これは、授業や学習におけるコンピュータ等の活用に加え、プログラミング的思考を育む意図があります。前者のコンピュータ等の活用は、以前からあるPCやタブレット端末を授業に取り入れた学習を進めること。一方、後者は新しく追加されたものです。

プログラミング的思考という言葉からは、「難しそう」「子どもには早いのではないか」といった印象をお持ちの先生方もいらっしゃると思います。しかし、プログラミング的思考とは、プログラム言語を覚えてコードを書くものではありません。これは、子どもたちが各教科で育む思考力を基盤としながら、思考の論理性を明確にするための考え方です。そして、この考え方には次の4つの要素があります。

プログラミング的思考のパターン

私たちの出前授業も、子どもたちにプログラミングの仕方を覚えてもらうことが目的ではありません。コンピュータが機能を提供する仕組み・考え方を知れば、新たな機能を作り出せるようになります。出前授業ではそれぞれの考え方に対し、学習効果のある考え方を、子どもたち自身が導き出せるように。そのためにも先生方のご経験を活用しながら、私たちも共に考えていく機会にしたいと考えております。

(初出「こどもプログラミング通信」第3号 2017年6月26日発行)