「第52回 ISP&クラウド事業者の集い in 旭川」パネルディスカッション レポート

2019年9月12日(木) JAIPA が開催した「第52回 ISP&クラウド事業者の集い in 旭川」において、「北海道で実績を積んだ3名の方から見た日本のプログラム教育について」と題したパネルディスカッションが行われ、弊社代表取締役社長の田中邦裕がモデレータを務めました。

左より:朝倉(さくらの学校支援プロジェクト)、田中(さくらインターネット代表取締役社長)


パネリストとしては、下村幸広氏(北海道旭川工業高等学校 情報技術科 教諭)、西原翔太氏(国立研究開発法人 情報通信研究機構 ナショナルサイバートレーニングセンター 研究技術員)、朝倉恵(さくらインターネット株式会社 さくらの学校支援プロジェクト シニアプロデューサー)の3名が登壇され、各々の立場からプログラミング教育を紹介し、現在抱えている諸課題、そして未来への展望を語りました。

まず、「プログラミング教育とは何なのか?」から始まりました。
プログラミング教育とは、論理的思考、プログラミング的思考を育むためのものであり、コードを書くことを教えるための授業ではないこと。従来からある授業の中に、論理的思考を育てる要素を取り入れていくということが、説明されました。

また、元は道内の高校教諭であった西原氏からは、小学校の必修化が話題の中心となっているが、中学校や高校の学習指導要領も、小学校で充分な能力を身につけたことを前提に改定されていること。それは現段階で見ると、あまりに専門的な内容であり、現場の先生方だけで対応できるのか疑問であると感想が語られました。

さくらの学校支援プロジェクトの朝倉からは、2017年から開始した、石狩市への小学校プログラミング教育支援のプロジェクトがどのように進んでいったのか、小学校での実践の様子なども交えながら紹介がありました。
先生方は、「教えるプロ」なので、どのような手法で、どのような能力を伸ばすのかをつかむことができれば大丈夫。あとは、先生方が不安に感じている部分をサポートし、信頼関係を築きながら、あせらず見守っていくことが大切とのことでした。

左より:西原氏(NICT/前 富良野緑峰高等学校 教諭 )、下村氏(旭川工業高等学校 教諭)

下村氏は、北海道旭川工業高等学校の教諭であり、U-16プログラミングコンテストにて小・中学生へのプログラミング指導もされています。その立場から、プログラミング教育により、さらに興味を持った子のためには、学校の外でもプログラミングに触れることができる場が必要となってくると提起されました。スポーツ少年団のようにプログラミング少年団が、地域の専門家により構成されていると、学校で興味を持った子たちの、その先の場所があるということで、先生がたも安心できるとのことです。

今回は、教える側の立場や、その経験のある方々によるディスカッションであったため、必修化による一般の先生方の苦労の様子も伝わってきました。子供たちがプログラミングを楽しいと感じる未来にむけて、「プログラミング教育とは、論理的思考を育むことであり、コードを書けるようになるためのものではないこと」を、みんなで理解した上で、参加者の中にたくさんいた「一般のエンジニア」の方々にも、地元で何かあれば是非ご協力をお願いしますとの呼びかけをしました。


質疑応答になると、会場から「一般のエンジニアは小学校のプログラミング教育がどのようなものなのか分かっていない」と、実情を伝える声がありました。このパネルディスカッションを通し、「ずっともやもやしていたことに回答が得られた」ともおっしゃっていました。これからも、エンジニアを始めITに関わる皆さんに、学校でのプログラミング教育がどのようなものなのか、理解を深めてもらうことが大切だということがわかりました。

さくらの学校支援プロジェクト
三谷 公美

「小学校プログラミング教育導入支援ハンドブック2018」発行

プログラミング教育をすべての小学校、すべての先生が実施できることを目指して作成されたハンドブックが公開されています。教員研修を担当する方や教育委員会事務局の方向けですが、一般の先生方も対象です。

内容は、小学校プログラミング教育の手引(第一版)について、導入のヒント、小学校における授業導入の事例集、教材集、用語集で構成されてい
ます。

ICT CONNECT 21 https://ictconnect21.jp/news_180712_003/

(初出「こどもプログラミング通信」第18号 2018年10月29日発行)

第2回小学校プログラミング教育を考える夕べを開催

7月18日に「第2回小学校プログラミング教育を考える夕べ」をわくわくホリデーホール(札幌市)で開催いたしました。今回の企画は札幌出身の東京都内在住の小学校教員が中心になって実施しました(主催:さくらインターネット株式会社、後援:札幌市教育委員会、協力:一般社団法人LOCAL)。

プログラムは3部構成。第1部の「プログラミング教育とは?」では、情報通信総合研究所の平井聡一郎氏による講演・模擬授業がありました。第2部は教材体験としてのワークショップの後、各ブースを通して算数、図工、国語を対象としたプログラミング教材に触れ、第3部ではプログラミング教育の実践報告がありました。

当日は教職員の方を中心に、札幌市のみならず遠方からもご参加いただきました。プログラミング教育の実践にはハードルが高いように思われるかもしれませんが、今回の模擬授業や教材の体験を通して、先生自身でプログラミングについて身近に感じられる機会を設けられました。ご参加およびイベントのご紹介・周知へのご協力ありがとうございました。

(初出「こどもプログラミング通信」第16号 2018年8月28日発行)

石狩市教育委員会を交えた取材記事が公開されました

「学校主体」のプログラミング教育はどうすれば実現できるのか?――さくらインターネットと石狩市の挑戦、として、さくらインターネットの石狩市に対するプログラミング教育に対する取り組みの取材記事が公開されました。

プロジェクトの発足の背景や方向性について、石狩市教育員会の方を交えての取材記事です。https://edtechzine.jp/article/detail/855

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

千葉県柏市のプログラミング教育への取り組み

CSAJで柏市教育委員会「プログラミング教育」視察を実施

さくらインターネットも参加しているCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)プログラミング教育委員会では、1月26日、千葉県柏市の小学校へプログラミング教育の授業見学・意見交換を実施しました。柏市では昭和62年度からプログラミング教育を一部の学校で開始し、約30年もの活動実績があります。

柏市では情報リテラシー育成カリキュラムを設けており、プログラミングに限らず、コンピュータを使ったリテラシー向上のためのカリキュラムを制定しています(表1)。学年ごとに目標が定められており、どこまで学ぶべきかと達成すべき課題がまとめられています。小学校だけでなく、中学校にも至るまで、一貫した方向性が示されています。そして、柏市ではプログラミング的思考が情報リテラシーの1つであるという考えから、今年度(平成29年度)は市内の全小学校(42校)で、4年生を対象としたスクラッチを使ったプログラミング授業が取り入れられています。

理科の授業(6年生)で「電気を無駄なく使う方法」をプログラミングで学習

視察した理科の授業では、電気の性質とその利用が課題でした。節電の条件を学ぶために、明るさを取得できるセンサーとプログラミング(スクラッチ)を使いました。

節電をテーマとした授業の様子

授業では、まず二人一組で、無駄なく電気を使うためのアイディアを出し合います。そして、センサーが取得する明るさの変化に応じてプログラムに条件を与え(音や光の状態を変更)、結果としてライトを節電できる方法を学びます。また授業の最後では、ペアごとにプログラムの発表もありました。

はじめからプログラミングをするのが目的ではなく、あくまでも情報活用能力の拡大という点で、有効に活用されていました。

意見交換会と柏市の取り組み

柏市はカリキュラムを定めただけでなく、ICT支援員の増員や、カリキュラム充実のために企業や民間団体と連携した素案作りなどの取り組みを行っています。

また、授業はあくまで導入でしかないため、ほかにも、地域ボランティアとの連携や、地域でのイベント企画・開催や、プログラミングコンテストの実施などにも取り組んでいます(図1)。

より詳しいレポートは

小学校の現場からプログラミング教育の実態を知る~ in 千葉県柏市 | CSAJ 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

(初出「こどもプログラミング通信」第10号 2018年2月27日発行)

教科書検定にプログラミング教育の記述が新設

8月10日、文部科学省から新しい教育課程に対応した義務教育諸学校教科用図書検定基準が公布されました。今回からは、プログラミング教育に関する記述が新設されました。また、パブリックコメント(意見公募手続き)に対する回答とあわせ、新しい教育課程では、どのような教科書になるのか方向性が見えてきましたので、要点をまとめてご紹介します。

まず、新しい検定基準では算数と理科に関する教科が例示されています。算数は5年生の図形に関して、理科は6年生の物質・エネルギーに関して、それぞれプログラミングを体験しながら論理的思考力を身につけるための学習活動が取り上げられています。

しかし、これらは各教科の授業で必ずプログラミングの実施を求めるものではありません。パブリックコメントの回答では、これらは例示であり、例示以外の授業でもプログラミング教育を実施可能とあります。学校の教育目標や、児童の実情等に応じて、工夫して取り入れられることが求められます。

そのほか、教科共通の要素として”ウェブページのアドレス等”に対する記述も新設されています。こちらの記述では、学習上の参考に供するために真に必要であること、教科書の内容と密接に関係があることや、情報の扱いは公正であること、といった記述が追加されています。

以上のように、教科書検定の段階においても、論理的思考力を身につける手段としてのプログラミング教育という方向性が、改めて明確化されました。

義務教育諸学校教科用図書検定基準(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kentei/1394148.htm

(初出「こどもプログラミング通信」第6号 2017年9月26日発行)

プログラミング教育関連書籍

①プログラミング教育~思考のアイディア~
②コンピュータを使わない小学校プログラミング教育
③先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

今回はプログラミング教育を既存教科の中に取り入れた指導案のアイディアをまとめた本が各社から出ていていますので、それについてご紹介いたします。5教科に加え、図工、音楽、体育、家庭科、さらには学級活動なども取り上げられています。プログラミング的思考を普段の授業に取り入れることで、各単元の理解を深めることのできるアイディアが掲載されています。

例えば社会科の単元:ごみ処理で、数種類のごみ処理手順をフローチャート(流れ図)にまとめさせることで、種類によっての手順の違いや処理に関わる場所等を視覚的に理解することができます。フローチャートにする作業は、場合分けや、繰り返しというプログラミング的思考につながっています。

こういったアイディアを実際に授業で行うための手順、指導ポイント、実践で得られることやプログラミング教育とのつながり等がまとめられています。参考として3冊を上げておりますが、その他にも同様の本がたくさん出てきていますので、それらを参考に2020年に向けて少しずつ準備を進めていきましょう。

(初出「こどもプログラミング通信」第5号 2017年8月29日発行)

出前授業アンケート結果・先生方の声

プログラミング教育に対する理解と、授業を自分でもできそうな意識を高めるきっかけに

私たちの出前授業は、7月末の時点で14コマ・335名の児童を対象に実施しています【表1】。出前授業に参加された先生方に対し、授業内容に関するアンケートを依頼しています。

結果からは、コンピューターが苦手であったり、授業が難しいというご意見もありました。その一方で、プログラミング教育(プログラミング的思考)に対する理解を深めるきっかけになったという声や、先生自身が自分で授業を行えそうに感じたとの声もいただいています。

以下、集計結果の一部やご意見・ご感想をご紹介します。

引き続き出前授業を受け付けています。授業までの流れやカリキュラムは、プログラミング通信第1号やパンフレットをご覧ください。また、校内研修会につきましても、各学校からのご要望に応じて実施いたします。

(初出「こどもプログラミング通信」第5号 2017年8月29日発行)

プログラミング教育出前授業が始まりました

6月から出前授業がスタート& 引き続きお申し込みを受付中です

さくらインターネットは4月からプログラミング出前授業の受付を開始し、6月から出前授業を開始しました。教育委員会の皆さまからのご指導・ご協力のもと、 各学校の先生方と授業内容を相談しながら、 子どもたちの状況にあわせた授業内容を検討・実施しています【表1】。

引き続き出前授業のお申し込みを受け付けています。 出前授業に関する Q&A は前回のプログラミング通信(第2号)の裏面も併せてご参照ください。

プログラミング教育とプログミング的思考

今年3月に文部科学省から公示された新学習指導要領では、情報活用能力という文言が明記されました。これは、授業や学習におけるコンピュータ等の活用に加え、プログラミング的思考を育む意図があります。前者のコンピュータ等の活用は、以前からあるPCやタブレット端末を授業に取り入れた学習を進めること。一方、後者は新しく追加されたものです。

プログラミング的思考という言葉からは、「難しそう」「子どもには早いのではないか」といった印象をお持ちの先生方もいらっしゃると思います。しかし、プログラミング的思考とは、プログラム言語を覚えてコードを書くものではありません。これは、子どもたちが各教科で育む思考力を基盤としながら、思考の論理性を明確にするための考え方です。そして、この考え方には次の4つの要素があります。

プログラミング的思考のパターン

私たちの出前授業も、子どもたちにプログラミングの仕方を覚えてもらうことが目的ではありません。コンピュータが機能を提供する仕組み・考え方を知れば、新たな機能を作り出せるようになります。出前授業ではそれぞれの考え方に対し、学習効果のある考え方を、子どもたち自身が導き出せるように。そのためにも先生方のご経験を活用しながら、私たちも共に考えていく機会にしたいと考えております。

(初出「こどもプログラミング通信」第3号 2017年6月26日発行)

「プログラミング教育出前授業」Q&A

プログラミング教育出前授業について、教職員の皆様から寄せられた質問についてお答えするコーナーです。

出前授業の実施に向けて少しずつ各学校の担当の先生と打ち合わせをさせていただく機会が増えますので、その際にお聞かせいただいた疑問などを取り上げていきたいと思います。

なぜ、さくらインターネットが石狩市でプログラミング教育の出前授業を行うのですか?

さくらインターネットは、石狩市の石狩湾新港地域にてデータセンター(コンピューターをたくさん保管する専用の建物)の運営を行っており、このデータセンターが弊社の事業の基盤になっています。

将来的な労働人口の減少や、海外各国との競争、ロボットやAI(人工知能)の普及などによる社会環境の変化に、柔軟に対応できる優秀なIT人材を育成することは、私たちの会社にとっても将来の事業存続にかかわる重要な課題であると考えています。

そのため、データセンターのある石狩市への小学校プログラミング教育支援を、弊社のCSR(企業の社会的責任)のひとつと位置付け、プログラミング教育のすそ野を広げる活動を通じて、石狩市が優秀なIT人材を輩出する『ITの街』となることを後押しできればと思っています。

「プログラミング的思考」が身に付くと、どんな良いことがあるんですか?

物ごとの仕組みを単純な命令に分解したり、同じ性質や規則性のあるものをパターンとして認識したり、ルールに沿って部品を組み合わせたり、関連付けることで意味のある動きを作りだすといった経験を通して、論理的な問題解決や、アイディア・発想の具体的な実現につなげていくことができます。

例えば、ブロックだけでは限られた形の物しか作ることはできませんが、そこにタイヤを付けてモーターを組み込むと動くタイヤが作れるという発想があったり、そのモーターをプログラミングで制御するという発想があったりすることで、より自由な発想で作りたいものを具体的に表現する可能性が広がります。

また、最初は動く車をブロックで作る方法が全く想像できなくても、動作を細かく分解するという考え方に慣れていくに従い、動かすためには何か要素を加える必要があることや、その要素にはどんな条件が必要なのか、それをどのようにして加えるのかなど、問題を自分の力で一つずつ道筋を立てて解決していく力が身に付きます。

自分が想定した動きになるまで、繰り返し試したり、先生や友達からもらったヒントを自分の考えに組み込んで発想力を高めるといった経験もたくさんできます。

どのメニューがどの学年に向いているんですか?

「プログラミング体験(Code Monkey、Ichigo Jam)」以外は、授業の中でどの学年でも取り入れることができます。
出前授業をお申込みいただきますと、申込書に記載いただいたクラスの人数やクラスの状況に対する事前情報を元に、指導案のサンプルを作成して打ち合わせをさせていただきます。

石狩市の場合は、複式学級の小規模校から、1学年に数クラスという学校まで、いろいろな学校がありますので、クラスに合わせた指導を、先生にアドバイスいただきながら組み立てるという手法を取らせていただきます。

「プログラミング体験(Code Monkey、Ichigo Jam)」は、実際にプログラミングのコードをアルファベットで打ち込む場面がありますので、タブレットやパソコンでの入力操作に慣れた学年への導入をおすすめしています。

(初出「こどもプログラミング通信」第2号 2017年5月23日発行)