プログラミング教育の手引(第二版)で追加された「C分類」の変更点について

2018年11月公開の「プログラミング教育の手引(第二版)」で新たに追加された実施実例紹介、今回はC分類です。第一版では「各学校の裁量により実施するもの」と説明がありましたが、第二版では「教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」と改められています。

また、C分類の目的として、A分類とB分類とは異なり、各教科等に位置付けているものでないため、第二版では新たに説明が追記されています。特に単純にプログラミングを授業で行うという誤解を招かないように、各所で説明が追記されています。

《追記された説明》

C分類では、「プログラミング的思考」の育成、プログラムのよさ等への「気付き」やコンピュータ等を上手に活用しようとする態度の育成を図ることをなどをねらいとした上で、

  • グラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取り組み設定する
  • 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎について学習する
  • 科等の学習と関連させた具体的な課題を設定する

こともでき、各学校の創意工夫を生かした取り組みが期待されます。

具体的な取り組み例として、追記・変更されているのは、以下の2点です。

C-① プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取組

第一版では「プログラミング言語を用いて」の記述が、第二版では「具体的には、ビジュアル型プログミング言語を用いて」と書き加えられています。

追記された説明には「プログラミングの体験を通して、コンピュータの画面上のモノがプログラムで動いていることに気付いたり、プログラミング的思考を育むとともに、プログラミングの楽しさや、ものごとを成し遂げたという達成感を味わうことにつながることが期待されます」とあります。

第一版にあった「プログラミングの体系的な知識や技術を学ぶことも考えられます」の項目は削除されました。

C-② 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎についての学習を実施する例

第一版の説明は「C-③ プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎」のみでしたが、第二版では「学習活動の実施に先立って」が追記されています。

説明でも追記があり、「後に実施する単元等で使用する予定であるプログラミング言語やソフトウェアの操作」と、あくまでも深い学びや気付きのため、プログラミングで学ぶことが強調されています。

なお、未来の学びコンソーシアムでは、現在の実例として、特別支援学校・学級における授業例が複数掲載されています。

(初出「こどもプログラミング通信」第22号 2019年2月26日発行)

プログラミング教育の手引(第二版)で追加された区分Bの事例

2018年11月に公開された「プログラミング教育の手引(第二版)」で新たに追加された実施実例を掲載していきます。今回は区分B「学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導するなかで実施するもの」です。なお、区分A・Bは、いずれも「各教科等での学びをより確実なものとするための学習活動」としてプログラミングに取り組む位置付けです。

第一版の区分Bでは以下の2つが記載されていました。

  • B-① 様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラミングを通して学習する場面(音楽 第3~6学年)
  • B-② 課題について探求して分かったことなどを発表(プレゼンテーション)する学習場面(総合的な学習の時間)

第二版では、新たに「社会」と「家庭」で2つの実施事例が追加されています。具体的な授業の進め方は、未来の学びコンソーシアムのリンク先をご覧ください。

B-② 都道府県の特徴を組み合わせて47都道府県を見付けるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する場面(社会 第4学年)

コンピュータのプログラムと地図帳や白地図を同時に活用しながら、都道府県の特徴を組み合わせて都道府県を特定する活動を通して、47都道府県の名称と位置を、その特徴とともに理解できるようにします。

学習活動としては、例えば地図帳を活用し、都道府県の特徴を探し、プログラム上で3つ以上のブロック(特徴)を組み合わせて、示された都道府県の名称と位置を白地図に書き込む活動が考えられます。

このプログラムを応用し、第5学年の産業や国土の学習を通して獲得できる特徴や、第6学年の歴史や文化遺産に対しても活用が期待できます。

B-③ 自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する場面(家庭 第6学年)

ご飯をおいしく炊くためのプログラミング体験を行うことにより、炊飯の一連の手順について理解を深めるとともに、身近な生活にコンピュータ(プログラム)が活用されていることにも気づくことができるようにします。

学習活動としては、炊飯に関する一連の手順についてプログラミング体験を行い、ご飯がおいしく炊けたり炊けなかったりする原因について考え、話し合うなどの活動が考えられます。

この学習では、第5学年での鍋での炊飯の経験を生かし、一連の炊飯の手順が、自動炊飯器にどのようにプログラミングされているかに関心をもたせるのが重要です。

(初出「こどもプログラミング通信」第21号 2019年1月29日発行)

プログラミング教育の手引(第二版)追加の事例 A区分

文部科学省から2018年11月に、先生方を対象とした「プログラミング教育の手引(第二版)」が公開されました。改定内容の概要は、前月のこどもプログラミング通信第19号(2018年11月発行)をご覧ください。このコーナーでは、新たに追加された実施実例と未来の学びコンソーシアムの事例を掲載していきます。今回は、区分A「学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」です。

第一版では以下の3つが記載されていました。

  • A-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく画面(算数 第5学年)
  • A-② 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理解 第6学年)
  • A-③ 「情報化の進展と生活や社会の変化」を研究課題として学習する画面(総合的な学習の時間)

第二版の改定では、新たに「総合的な学習の時間」として以下2つの実施事例が追加されています。具体的な授業の進め方は、未来の学びコンソーシアムのリンク先をご覧ください。

A-④ 「まちの魅力と情報技術」を研究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)

身近な生活にプログラミングが活用されていることや、そのよさについて、プログラミングを通して気付くとともに、この体験をよりどころとして、情報に関する探求を進めていきます。

単元では、観光客がまちの魅力に触れてもらうために魅力を考え、プログラミングを活用した情報発信の方法を考えます。それから、実際に駅に設置したり、商業施設や駅担当者へのインタビューを行い、魅力あるまちづくりに寄与できることをまとめ、発表します。

単元例:地域をつなぐ情報と私たち(情報)
学 年:小学校3~6年生

A-⑤ 「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探求課題として学習する場面(総合的な学習の時間)

プログラミングを通して、情報技術の仕組みを理解し、ものづくりのよさを知るとともに、ものづくりを支える人との関わりからものづくりの魅力や自分らしい生活についての考えを深めていきます。

単元では、社会科の自動車工場の見学を振り返り、産業用ロボットの活用を踏まえ、プログラムで命令できれば同じ原理の車ができることに気付きます。それから自分たちで自動車や生活を豊かにするものに視点を拡げ、ものづくりや生き方をまとめて発表します。

単元例:ものづくりと生活の豊かさ(ものづくり)
学 年:小学校5、6年生

(初出「こどもプログラミング通信」第20号 2018年12月20日発行)

小学校プログラミング教育の手引(第二版)が改訂

2020年度から始まる小学校におけるプログラミング教育導入にあたり、2018年3月に文部科学省から「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が公開されていましたが、11月に内容の補足を盛り込んだ第二版が公開されました。

「小学校プログラミング教育の手引」とは

プログラミング教育の本格的な開始に向けて、先生方が抱いている不安を解消し、安心して取り組んでいただけるように文部科学省が取りまとめたものです。プログラミングに関する専門用語をできる限り用いず、教育内容を具体的かつ分かりやすく解説しています。

内容はプログラミング教育導入の経緯から始まり、小学校で育むプログラミング教育について網羅的な解説があります。各教科の目標や内容を踏まえた具体例にまで丁寧に言及があるため、学習指導要領をより具体的に補足する内容として、授業の実施や計画にあたって目を通しておくべき資料と言えるでしょう。

なお、手引の内容については、教材の充実や各学校における実践の充実を踏まえ、適時改定を重ねる予定との記述があります。

以下に、第二版での主な変更点をご紹介します。

「プログラミング教育ポータル」に教育事例

プログラミング教育の指導例や実践実例は、官民連携の「未来の学びコンソーシアム」が運営する、プログラミング教育事例が掲載されているウェブサイト「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」(https://miraino-manabi.jp)を通して行われることが記されました。授業作りにあたっては、手引だけでなく、教育ポータルも参考になる位置づけです。

C区分の役割は教育課程内での実施と明確化

学習指導要領の範囲内で実施する区分A・区分Bに比べ、区分Cは「各学校の裁量により実施するもの(教育課程内で実施するもの)」という位置付けでした。第二版では「裁量により」の記述は削除され「教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」との記述が新たに追加されました。

C分類のねらいと取り組みへの期待

第二版では、「プログラミング的思考」の育成、プログラムのよさ等への「気付き」やコンピュータ等を上手に活用しようとする態度の育成を図ることなどをねらいとした上で、以下のような取り組みが期待されています。

  • プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材を設定する
  • 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎について学習する
  • 各教科等の学習と関連させて具体的な課題を設定する

評価についても「教育課程内で各教科等とは別に実施する場合は、教科等の評価規準により評価したり、評定をしたりすることはありませんが、それ以外は前述と同様に児童を見取り、その評価を適切に伝えるなどすることが望ましいと考えられます。」の記述が追加されました(21頁)。

学習指導要領範囲内での指導例が一部変更・追加

学習指導要領の範囲内である区分A(例示あり)と区分B(各教科等の指導で実施)で、細かな記述が変更になったほか、それぞれ新しい指導例が追加されました。

A-④ 「まちの魅力と情報技術」を研究課題として学習する場面(総合的な学習の時間)

まちの魅力を発信するタッチパネル式の案内表示にプログラミングを取り入れるのを考え、見せ方を試行錯誤する。

A-⑤ 「情報技術を生かした生産や人の手によるものづくり」を探求課題として学習する場面(総合的な学習の時間)

例えば、自動車工場にある先端の情報技術につて意見交換するなかで、自分が作ってみたい自動車を課題として設定。衝突を防止するセンサーのプログラミングなど。

B-② 都道府県の特徴を組み合わせて47都道府県を見つけるプログラムの活用を通して、その名称と一を学習する場面(社会第4学年)

47都道府県の特徴が記されたブロックを組み合わせることで、ブロックの特徴に合致した都道府県の名称と位置を示すプログラムを使用。地図上で理解するよりも思考を伴う学習活動

B-③ 自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する場面(家庭第6学年)

ご飯をおいしく炊くためのプログラミング体験を通して、炊飯の一連の手順について理解を深めるとともに、身近な生活にコンピュータ(プログラム)があるのに気づく。

このほかの変更点も含め、具体的な例示については、次回以降のこどもプログラミング通信を通してお伝えします。また、第二版は文部科学省のページからご覧いただけます。

関連情報

(初出「こどもプログラミング通信」第19号 2018年11月27日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第5弾)

E・F分類は教育課程外のプログラミング学習機会

教育課程外における分類として、学校を会場とするE分類と、学校を会場としないF分類があります。地域や企業・団体等において学習機会が用意されるものであり、児童の興味・関心等に応じて提供されることが期待されています。

小学校プログラミング教育の手引では、学校の役割としては、「児童の興味や関心を踏まえて、学習機会を適切に紹介するなど、相互の連携・協力を強化することが望まれます。」とあります。

あわせて手引では、教育委員会が主導し、企業・団体や地域等の人々と連携し、協力を得ている例が7つ掲載されています。

  1. 企業等との連携
  2. 企業等の社会貢献プログラムへの参加
  3. ICT支援員等の活用
  4. 市民ボランティア等の活用
  5. 大学等との連携
  6. NPO等との連携
  7. 学校放送番組の活用

いずれもカリキュラム・マネジメントとして外部の人的・物的資源の活用であり、学校としての取り組みや、教育委員会による支援も重要とあります。

「未来の学びコンソーシアム」に分類別の事例が掲載

各分類に応じた、実際の授業や取り組み事例に関する情報が続々と掲載されています。また、教材情報も充実してきていますので、指導や授業における計画作りの参考になります。

参考サイト:小学校を中心としたプログラミング教育ポータルPowered by 未来の学びコンソーシアム

(初出「こどもプログラミング通信」第17号 2018年9月28日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第4弾)

文部科学省から公開されている「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」について、これまでA~Cの各分類を紹介してきました。今回は教育課程内でのD分類を紹介します。

D分類は教育課程内ありながら、クラブ活動など、特定の児童を対象に実施するもの

前回のC分類は、教育課程での実施、つまり、授業の一環として学校の裁量で実施するものでした。D分類も同じく学校における教育課程内です。しかし、すべての児童が対象ではなく、クラブ活動など、特定の児童を対象としている違いがあります。

児童が協力してプログラムを作成できるようにするためには、学校の創意工夫によって、コンピュータクラブやプログラミングクラブを設けるとあります。また、他の分類とは異なり、教育課程外でのプログラミング機会(E分類・F分類)でプログラミングに関する知識を持つ児童が、苦手な児童に対するサポートの役割を持たせることも書かれています。

例示では、特定の言語環境や教材については示されておらず、

  • 児童の発達の段階
  • プログラミングの経験
  • 作成しようとするものが何か

に応じて適切なものを選択する必要があります。また、漠然とプログラムに取り組むのではなく、発表会を設けたり、プログラミング・コンテストへの参加を促すなども書かれています。

D-① オリジナルアニメーションを作ろう

例示では動的なコンテンツの作成として、キャラクタ等の動きの制御だけでなく、画像や音声についても、自分で作成したいという意欲のある児童が想定されます。

D-② 家で使える便利な機械を考えよう

例示は各教科の学習の中でつくるよりも更に自由な発想で、様々な機械のモデルとそれを制御するプログラムを作成したいという意欲を持つことが想定されます。

これまでにご紹介したプログラミング教育の教材を、児童の段階や興味や用途で使い分けていくことも考えられます。

(初出「こどもプログラミング通信」第16号 2018年8月28日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第3弾)

C分類は教育課程内ありながら、各学校の裁量で実施する授業

文部科学省から公開されている「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」について、前号までは「A分類」と「B分類」を紹介してきました。具体的な例示の有無はあるものの、いずれも学習指導要領と関連付けた実施の位置づけです。

一方、教育課程内で学校が独自の裁量で実施するのが「C分類」です。プログラミング的思考を育むと共に、プログラミングに関する一定の体系的な知識や技能を学ぶことも想定されています。

手引では、学校の裁量で時間を確保するのが前提です。各教科と関連なく実施することも可能ではあるものの、各教科の学習と関連させた具体的な課題の設定により、児童が取り組みやすくなると考えられるとあります。

C-① 各教科等の学習を基に課題を設定し、プログラミングを通して課題の解決に取り組む学習を展開する例(社会5年)

例示は社会科の日本の工業生産における優れた製品を生産する工夫や努力の学習と関連付けて、自動追突防止装置の付いた自動車のモデル製作・追突を回避するためのプログラムの作成が挙げられています。大阪市立苗代小学校の「プログラムロボット学習」が授業の参考になります。http://www.ocec.jp/center/index.cfm/35,17115,279,html

C-② 各教科の学習を基に、プログラミングを通して表現したいものを表現する学習を展開する例(国語)

例示は国語の物語から好きな場面を選び、その場面のアニメーションを作成する授業があげられています。プログラミングによって登場人物が動いたり話したりすることで、登場人物の気持ちや条件を表現し、工夫を話し合うことが考えられます。前号でご紹介したB分類の事例①とは異なり、国語の教科のねらい達成にとらわれず、豊かな表現を楽しみます。

C-③ プログラミング言語やプログラミング技術の基礎についての学習を実施する例

キーボードを使った文字入力や、ファイルの操作など、直接は各教科等の学習として位置付けられてはいません。しかし、後の学習活動を円滑に進めるための学習活動として、学校の判断により時間を確保し、計画的に進められます。

各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立ち、学校の裁量で時間を確保し、プログラミング言語やプログラミングに関する基礎的な知識や技能の習得などを目的とし、プログラムを体験することも考えられます。

(初出「こどもプログラミング通信」第15号 2018年7月27日発行)