小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ

2020年度から始まる小学校プログラミング教育の円滑な実施に向けて

前号でもお伝えしたとおり「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が文部科学省から公開されています。

これまでにもプログラミング教育の導入にあたっては、学習指導要領や解説をはじめとして、様々な情報が発表されています。新しく公開された手引きでは、これまでのプログラミング教育の議論の経緯だけでなく、各教科の目標・内容を踏まえた指導の考え方や、外部との連携、質問と回答集などが記載されています。

手引きでは、複数の教科・学年を通して情報活用能力を育成することをねらいとしたカリキュラム・マネジメントが大切とあります。

実際に授業や課外活動を通し、どのように学習を進めるかの検討にあたっては、手引きにある学習活動の分類(図1)を考慮する必要があります。A・Bは「単元のねらい」を深く理解する手段としてプログラミング教育を行うもので、教科書にも掲載され、学校教育で最低限実施すべきラインです。

算数、理科、総合的な学習の時間の特定の単元は学習指導要領に例示されているため、A分類にあたります。今回は、A分類について出前授業メニューを例に具体例を説明します。

A-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(算数5年)

例示は Scratch を使っていますが、出前授業ではより簡単に実現できるよう、機能を絞り、チュートリアルを付けた「プログル」という教材を使用します。

A-② 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理科6年)

例示は Scratch を使って通電を制御しますが、出前授業では「micro:bit」のセンサーを使います(暗くなったらLED点灯、明るくなれば消灯)。

A-③ 「情報」を探求課題に設定した学習場面(総合的な学習の時間)

例示はプログラミングで自動販売機を擬似的に再現しますが、出前授業では「身の回りにあるコンピューターを探そう」と「ロボットのお仕事」で、アンプラグドとして信号機の動作をモデルに考えたり、コンピューターの役割とコンピュータを使う人間との役割の違いについて考察したりします。いずれも実際のプログラミングで再現可能です。

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

教材紹介:ヤマレコ

プログラミング通信第11号で「電子国土Web」をご紹介しましたが、今回はそれに関連し、さらに一歩進んだ情報活用事例をご紹介いたします。
ヤマレコという登山者を対象としたコミュニティサイトがあります。自身の登山記録を写真や文章で残すことができ、登山ルートをGPSログデータ登録や地図クリックで自動的に作成・整理してくれる便利なサイトです。毎週数千件の登山記録が当サイトには登録されているそうです。

国土地理院が提供する地形図における、登山道の情報修正を行うために、株式会社ヤマレコが取得したGPSデータを国土地理院へ提供する協力協定が昨年12月に締結されました。登山道の地図への反映は現地調査に時間を要し、実際にはない道が地形図に表示されたままになっている等の課題があったそうです。提供されたデータ(登山者が実際に歩いた道)を活用することで登山道の修正を短期間かつ精度を上げて行えるようになります。

株式会社ヤマレコでは、遭難を防ぎ、登山を安全に楽しめるようにしていきたいとの思いを持っているそうです。このような情報の活用事例を知り、身の回りで活用できる情報やその活用方法を探してみることも、情報活用能力を育成する上で役に立つのではないでしょうか。

参考サイト:https://www.yamareco.com/

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

石狩市教育委員会を交えた取材記事が公開されました

「学校主体」のプログラミング教育はどうすれば実現できるのか?――さくらインターネットと石狩市の挑戦、として、さくらインターネットの石狩市に対するプログラミング教育に対する取り組みの取材記事が公開されました。

プロジェクトの発足の背景や方向性について、石狩市教育員会の方を交えての取材記事です。https://edtechzine.jp/article/detail/855

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

教育のICT化に向けた環境整備5か年計画が策定

文部科学省は2018年度から2022年度にかけての、学校におけるICT環境整備5か年計画を策定しました。昨年12月にICT環境の成否方針を策定したのに引き続き、具体的な整備方針が整いました。

計画では具体的な整備目標が掲げられています。たとえば、3クラスに1クラス分の子ども向けコンピュータの整備や、先生には1人1台のコンピュータに加え、高速インターネットや無線LAN・校務システムの整備は100%を目指しています。

参考サイト:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1402835.htm

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

実施事例:正多角形をプログラムを使って書こう

A 分類:学習指導要領に例示されている単元等で実施(小学5年生、算数)

図形を構成する要素に着目し、プログラミングを通した正多角形の書き方を発展的に考察したり、図形の性質を見いだしたりして、その性質を筋道立てて考え説明したりする力を確実に育みます。

そのために、正多角形は「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用いて作図する課題を考えます。

はじめに多角形を定規と分度器を用いて作図を試みさせます。手書きでは長さや角度のずれにより、正確な作図が難しいことを実感します。それから、Scratch のプログラミングを通して正方形の作図の仕方を学級全体で考えたあと、プログラミングによる正三角形や正六角形に取り組みます。

多角形の意味を考察すると、今までに書いたことがない正多角形を書けるとともに、人の手作業では難しかったり手間が掛かったりするのも、コンピューターであれば容易にできると気づくようになれます。

正三角形、正六角形を正しく書くためのプログラム例

参考サイト:https://miraino-manabi.jp/cm/content/111

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)