小学校プログラミング教育に関する意見交換会が実施

11月9日、一橋大学(東京)で小学校プログラミング教育に関する教材開発者と教育専門家の意見交換会(主催:文部科学省)が実施されました。文部科学省から新学習指導要領におけるプログラミング教育についての説明の後、教育委員会や総務省の取り組みの説明、そして参加者との意見交換が実施されています。

冒頭では文部科学省から、新学習指導要領とプログラミング教育について解説がありました。今回の改定ポイントは、情報活用能力に対して、初めての記載がありました。ICT環境の整備・活用や、文字入力など基本的な操作の習得だけでなく、プログラミング的な思考(論理的な思考)についても触れられています。

教材開発者に対しては、プログラミングの狙いとして、以下の3点を上げています。

  • プログラミング言語、技能を覚えるものではない
  • 社会が情報技術によって支えられているのに気づく
  • コンピュータを活用し、社会を築いていく態度を育む

教育事例では、千葉県柏市と神奈川県相模原市の取り組みが紹介されました。

柏市は平成28年7月に取り組みを市長が表明し、平成29年からプログラミング教育を先行実施されています。授業は担任と市が派遣したICT支援員とで行われています。算数の多角形や、理科の手順を(紙の上で)フローチャート化する取り組みが紹介されました。

相模原市では、4年生の算数において、数の表現の仕方や、四捨五入でおおよその数を割り出すロジックについて学ぶ紹介がありました。6年生の理科では、発電と電気の利用(学習指導要領にある事例を実現したもの)として、人を感知するとLEDが点灯する仕組みを学ぶ紹介がありました。

後半は意見交換会でした。参考になる質疑・応答をご紹介します。

質問:小学校段階で目指すレベルはどのくらいですか

回答:プログラミング的思考を育むこと、コンピュータ利用は便利で楽しいと理解すること、各教科の学習で実際に使うことが趣旨です。プログラムを書く技術の習熟が目的ではありません。

質問:どのように子ども達を評価したらよいのでしょうか

回答:論理的思考力を育む視点から、良さに気が付いた・理解できたかを評価します。プログラミングの出来・不出来は評価の対象としません。

質問:プログラミング教育にコンピュータは必須ですか

回答:コンピュータを用いなくてもプログラミング的思考の指導は行えます。しかしながら、プログラミングは体験して欲しいですし、その上で、コンピュータの楽しさを知ってもらいたいと考えています。

(初出「こどもプログラミング通信」第8号 2017年12月12日発行)

みんなのコード、小学校教員が対象のプログラミング指導教員養成塾の提供拡大を発表

特定非営利活動法人みんなのコード(代表理事:利根川裕太)は、プログラミング指導教員育成塾の提供拡大を発表しました。これは小学校の教員を対象として定期的に開催している研修であり、プログラミング教育の導入・普及のための支援が目的です。

みんなのコードは、2017年5月に養成塾を開設し、これまでのべ80名の教員を養成してきました。

11月17日には、Google社の支援により、2021年3月末までの3年間で、全国10都市で約30回以上の養成塾を開校し、全国で2,000人のプログラミング指導教員を育成する発表がありました。

みんなのコードがこれまで培ったプログラミング教育と教員育成のノウハウが、全国に広まる機会となります。

(初出「こどもプログラミング通信」第8号 2017年12月12日発行)

教材紹介:ソビーゴ

小学生が対象のロボットを使ったプログラミング教材をご紹介します。以前に紹介したプログラミング用パソコン教材「IchigoJam」(イチゴジャム)を使い、自分で作成するロボット「ソビーゴ」を自由に動かせるようチャレンジします。

ソビーゴ本体の素材は段ボール。既製品のロボットを使うのではなく、自分の手を使って組み立て・飾り付けることで、プログラミングを主体的に学ぶのを助ける効果が見込めます。

また、ロボットの動きの制御には、簡単なIchigoJam BASIC言語を使います。様々な命令を使い、ロボットを走らせたり、手を動かしたり、LEDを光らせたり、思いのままに操作できます。これにより、単にプログラミング言語を学ぶだけでなく、簡単なプログラムを通して思い通りにロボットを動かせるプロセスが、学びにつながります。

関連サイト:ソビーゴ https://hello-sovigo.com

(初出「こどもプログラミング通信」第8号 2017年12月12日発行)

可能性広がる!特別支援学級プログラミング教育

花川小学校で特別支援学級の子どもたちにプログラミング体験を実施

「 こどもプログラミング通信 No.7 」にて、生振小学校、花川小学校の2校にそれぞれ1週間滞在させていただき、出前授業だけでは難しいプログラミング教育普及のための活動を行った話題を掲載しました。この1週間の滞在の中で、花川小学校では特別支援学級の子どもたちに対するプログラミング体験を実施させていただくことができました。ひとつの事例としてご紹介させていただきます。

花川小学校での実践は、急遽実施されたもので、特別な準備のない状況でした。ですが、通常の出前授業をベースにしながらいくつか工夫した点があります。

  • 自由度が限られ、命令の少ない単純な教材を使用する(今回はHour of Codeのアングリーバードを使用)
  • 子どもの状況に合わせて個別に指導する

今回は、2年生~6年生まで、学年も支援の必要な状況も全く異なる子どもたちを一斉に指導するという試みでした。教員の皆さんがご自身も教材を体験しつつ、子どもたちにやり方のみを教えるのではなく、考えるポイントを指導しました。また、うまくいかなくても諦めず、もう一度試みるように働きかけたため、スムーズに進められました。

子どもたちの支援が必要な状況にもよりますが、ハードルを低めに設定し、まずは「できた!」という経験をさせてあげることで、次への挑戦意欲を引き出すことが重要なのではないかと感じました。

また、特に低学年の子どもは「左右の区別がつくか」「数の概念を理解できているか」などで必要な支援が変わってきます。ただし、左右の区別がつかない子どもが、右左逆にプログラミングを記述したとしても、画面上で間違った動きを見て「逆だった!」と自分で気付いて直せます。これも、これら教材の良い特徴ですので、上手に利用できると良いのではと思います。

実は、特別支援学級でのプログラミング教育については、総務省も全国的に実証実験を行うなど、授業に取り入れることに対する効果について期待されています。 教科書と向き合って授業を聞くだけでは、なかなか集中できない子どもが、プログラミング教育の教材や、コンピューターの操作には強い関心を持って集中して取り組むことも報告されています。私たちも、授業と結びつけて上手に活用する方法を模索していきたいと考えております。

関連サイト:アングリーバード https://studio.code.org/hoc/1