プログラミング教育に関する教育委員会の取組例

未来の学びコンソーシアムでは、プログラミング教育に関する都道府県における教育委員会の取り組み例を紹介しています。これは、年間指導計画や研修教材などの支援状況についての問い合わせが未来の学びコンソーシアムに増えているためとのことで、参考情報としての支援例がいくつか紹介されています。

(「こどもプログラミング通信」第28号 2019年8月26日発行より)

9月は「未来の学びプログラミング教育推進月間」

全国の小学校にプログラミング教育を呼びかけ

文部科学省、総務省、経済産業省は、小学校プログラミング教育の実施・推進を呼びかける「未来の学び プログラミング教育推進月間(みらプロ)」を9月に実施すると設定しました。これは、全国の小学校にプログラミング教育に取り組むように呼びかけるものです。

実施にあたっては、企業と連携した総合的な学習の時間の指導案(プログミング体験を含む・約35時間)が用意されています。企業における最先端の取り組みを知り、プログラミング体験で理解を含め、児童が各自の課題に探求的に取り組める課題を支援するためのものです。

既に企業訪問や講師派遣の受付等は終了していますが、教材に関する情報や、指導案(学習指導計画例)、授業に関する動画の情報などが豊富に掲載されています。

授業に向けての指導案は18例が公開されています。どれも、身近な生活とコンピュータが深く結びついていることに関連しています。プログラミング体験についての記述も事例が多く掲載されていることから、普段の授業で深い学びにつながるプログラミング教育を計画するための参考になるものと思われます。

取り組みの詳細、指導例については、未来の学びコンソーシアムの特集ページをご覧ください。

視察した授業の様子が放送(インターネット配信)

石狩市教育委員会と紅南小学校長坂先生が視察した授業(横須賀市浦賀小学校)の様子が、「みらプロ」の事例として8月25日にテレビ放送されます。

こちらの放送は、後日、政府インターネットテレビでもアップロード予定ですので、あわせてご覧ください。

(「こどもプログラミング通信」第28号 2019年8月26日発行より)

STEM・STEAM 教育と、みらいの教室

「STEM教育」や「STEAM教育」とは?

プログラミング教育について調べると「STEM」や「STEAM」といったキーワードを時折目にすることがないでしょうか。学校における先生方だけでなく、おそらく保護者や一般の方でも同様でしょう。STEM(ステム)の定義は

  • 科学( Science )
  • 技術( Technology )
  • 工学( Engineering )
  • 数学( Mathematics )

これら4つの分野の頭文字を表す言葉です。これらに加えて

  • 芸術( Art )

を合わせたものが STEAM(スティーム)と呼び、各要素を組み合わせる教育スタイルや学習方式が STEAM 教育です。

STEMの概念は2000年代初等にアメリカで議論がはじまりました。いわゆるIT(情報通信技術)が進歩する一方で、これら要素を統合的に学ぶカリキュラムが学校に存在せず、また多くの一般人も継続的に学ぶ必要性が求められ続けているからです。

STEMは「21世紀の創造、変革、問題解決に必要な力」として、アメリカでは2013年に重要な国家戦略となりました。近年では、オーストラリア、カナダ、ベトナム、中国、香港でも行政機関による取り組みが進みつつあります。

STEAMはSTEM教育の中心に「芸術」と「デザイン(設計)」をおいたものです。これらは単なるプログラミング教育ではなく、社会における問題解決のために行うものであり、創造性と密接に結びつくものという考え方に基づいています。

近年の日本国内では、政策ビジョンとして「Society 5.0に向けた人材育成」が提唱されています。AI技術の発達により、私たちの生活や経済、社会そのものが変わると言われています。新たな社会を牽引する人材育成のため、文部科学省・経済産業省・総務省が様々な実証実験や事業支援に取り組んでいるのが現状です。文系・理系の垣根を無くす教育という意味でも使われています。

これらの動きによって、今すぐ授業内容や学校が変わるわけではありません。しかし動向を把握しておくことで、総合的な授業でのプログラミング教育実施だけでなく、どのような場面でプログラミングを授業に取り入れるかの参考になるものと思われます。

「未来の教室 Learning Innovation」

未来の教室とは経済産業省の実証事業であり、EdTech(教育にコンピュータなどの技術を取り入れること)や個別最適化、文理融合、社会課題解決をキーワードにした、新しい学習プログラムの開発・実証を2018年から進めています。実証事業は全国各地で進められています。

このプロジェクトにおける事例などの取り組みが、ポータルサイト上で公開されています。小学校の事例としては、音楽・算数・プログラミングの横断学習なども紹介されています。

STEM・STEAM参考資料

(「こどもプログラミング通信」第27号 2019年7月22日発行より)

YouTube「つべこべチャンネル」

情報通信総合研究所の平井聡一郎先生、佐野日本大学高等学校の安藤昇先生が動画でプログラミング教育・教材について伝えるYouTubeチャンネルが公開中です。

「プログラミング教材ロボット プロロ(Proro)」
富士ソフトが提供しているロボット「プロロ」を題材にし、教材としてどのようにして使うか、プログラミングの仕方について、ロボット実機とパソコンを使いながら紹介されています(17分09秒)。

「micro:bit のスクラッチへのつべこべ言わず接続する方法」
micro:bitを操作するために、ケーブルでパソコンへの繋ぎ方から、Scratch 3.0 を通して操作するまでの流れが、5分ほどにコンパクトにまとめられています(5分29秒)。

つべこべチャンネル

(「こどもプログラミング通信」第27号 2019年7月22日発行より)

micro:bit の MakeCode エディタがバージョンアップ

小さなコンピュータ教材 micro:bit でプログラムを入力するために必要な開発環境がMakeCode です。MakeCode はスクラッチのようなビジュアルプログラミング教材で、micro:bit の実機がなくても、画面上で動作を見られます。

この MakeCode の最新版 ”2019 Release” が公開されました。利用者側からは何も操作しなくても、自動的に最新版のエディタが使えるため、プログラムの書き換えは不要です。

また、Windows 10 と macOS では、インターネットに接続していないオフライン環境でも利用可能な「アプリ版」のベータ提供(テスト段階のもの)が公開されています。ブラウザが MakeCode に対応していない場合でも、アプリによってプログラミングをしたり、micro:bit の動作を体験できます。

micro:bit (Microsoft MakeCode)

(「こどもプログラミング通信」第27号 2019年7月22日発行より)

2019年9月「プログラミング教育推進月間」を全国的に実施

文部科学省、総務省、経済産業省では、2020年度からのプログラミング教育実施に向けた機運を高めるために、2019年の9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間(通称:みらプロ)」としました。これは期間中、全国の小学校にプログラミングの授業に取り組むよう呼びかけるものです。

実施にあたっては、総合的な学習の時間を想定し(2学期および3学期での利用を想定した約35時間) 、企業が提供するインターネット上のサービスや、さまざまな教材を活用した指導案が既に公開されています。

具体的には、地域の魅力を伝えるためのアプリ活用や、私達の生活と自動車の未来などが紹介されています。企業が提供する教材は4月15日まで募集が続いています。授業づくりや指導案の検討のために、参考になりそうです。

(初出「こどもプログラミング通信」第23号 2019年3月26日発行)

大分県教育委員会は、プログラミング教育指導案を公開

各地の教育委員会ではプログラミング教育の情報公開が始まっています。一部は第18号(平成30年10月29日)で紹介させていただきました。

大分県の教育委員会では「小学校プログラミング教育全体計画・年間指導計画(例)」を発表しました。WordとExcelのファイルが公開されており、プログラミングを使った教育計画の策定に役立つ内容と思われます。

全体計画では、プログラミング教育の目的を学校の教育目標と並べ、児童の実態や地域の実態、教師の願いなども整理できる便利なシートです。また、指導計画は各学年・各教科で整理されています。

(初出「こどもプログラミング通信」第23号 2019年3月26日発行)

プログラミング教育の手引(第二版)で追加された「C分類」の変更点について

2018年11月公開の「プログラミング教育の手引(第二版)」で新たに追加された実施実例紹介、今回はC分類です。第一版では「各学校の裁量により実施するもの」と説明がありましたが、第二版では「教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」と改められています。

また、C分類の目的として、A分類とB分類とは異なり、各教科等に位置付けているものでないため、第二版では新たに説明が追記されています。特に単純にプログラミングを授業で行うという誤解を招かないように、各所で説明が追記されています。

《追記された説明》

C分類では、「プログラミング的思考」の育成、プログラムのよさ等への「気付き」やコンピュータ等を上手に活用しようとする態度の育成を図ることをなどをねらいとした上で、

  • グラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取り組み設定する
  • 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎について学習する
  • 科等の学習と関連させた具体的な課題を設定する

こともでき、各学校の創意工夫を生かした取り組みが期待されます。

具体的な取り組み例として、追記・変更されているのは、以下の2点です。

C-① プログラミングの楽しさや面白さ、達成感などを味わえる題材などでプログラミングを体験する取組

第一版では「プログラミング言語を用いて」の記述が、第二版では「具体的には、ビジュアル型プログミング言語を用いて」と書き加えられています。

追記された説明には「プログラミングの体験を通して、コンピュータの画面上のモノがプログラムで動いていることに気付いたり、プログラミング的思考を育むとともに、プログラミングの楽しさや、ものごとを成し遂げたという達成感を味わうことにつながることが期待されます」とあります。

第一版にあった「プログラミングの体系的な知識や技術を学ぶことも考えられます」の項目は削除されました。

C-② 各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立って、プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎についての学習を実施する例

第一版の説明は「C-③ プログラミング言語やプログラミングの技能の基礎」のみでしたが、第二版では「学習活動の実施に先立って」が追記されています。

説明でも追記があり、「後に実施する単元等で使用する予定であるプログラミング言語やソフトウェアの操作」と、あくまでも深い学びや気付きのため、プログラミングで学ぶことが強調されています。

なお、未来の学びコンソーシアムでは、現在の実例として、特別支援学校・学級における授業例が複数掲載されています。

(初出「こどもプログラミング通信」第22号 2019年2月26日発行)

放送大学で小学校教員が対象の、プログラミング講座開講

2020年度からの学習指導要領改訂に向けて、放送大学は衛星放送とオンライン(インターネット)で受講可能な「プログラミング教育プラン」を2019年度に開講します。先生が個人単位で受講するだけでなく、教育委員会や学校単位での研修も想定されています。

開設講座は「小学校プログラミング教育 導入編」と「Scratchプログラミング指導法」です。

導入編では、新学習指導要領におけるプログラミングの考え方、先進的な取り組みを行う自治体や学校の紹介があります。オンラインで終了試験に合格すると、Scratchプログラミング指導法を受講できます。また、Scratchでは実際にプログラミングをしながら、授業での活用方法を学びます。

オンライン講座は年間を通して受講を受け付けます。手続き詳細や申し込み手続きについては、放送大学のサイトをご覧ください。

(初出「こどもプログラミング通信」第22号 2019年2月26日発行)

プログラミング教育の手引(第二版)で追加された区分Bの事例

2018年11月に公開された「プログラミング教育の手引(第二版)」で新たに追加された実施実例を掲載していきます。今回は区分B「学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導するなかで実施するもの」です。なお、区分A・Bは、いずれも「各教科等での学びをより確実なものとするための学習活動」としてプログラミングに取り組む位置付けです。

第一版の区分Bでは以下の2つが記載されていました。

  • B-① 様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラミングを通して学習する場面(音楽 第3~6学年)
  • B-② 課題について探求して分かったことなどを発表(プレゼンテーション)する学習場面(総合的な学習の時間)

第二版では、新たに「社会」と「家庭」で2つの実施事例が追加されています。具体的な授業の進め方は、未来の学びコンソーシアムのリンク先をご覧ください。

B-② 都道府県の特徴を組み合わせて47都道府県を見付けるプログラムの活用を通して、その名称と位置を学習する場面(社会 第4学年)

コンピュータのプログラムと地図帳や白地図を同時に活用しながら、都道府県の特徴を組み合わせて都道府県を特定する活動を通して、47都道府県の名称と位置を、その特徴とともに理解できるようにします。

学習活動としては、例えば地図帳を活用し、都道府県の特徴を探し、プログラム上で3つ以上のブロック(特徴)を組み合わせて、示された都道府県の名称と位置を白地図に書き込む活動が考えられます。

このプログラムを応用し、第5学年の産業や国土の学習を通して獲得できる特徴や、第6学年の歴史や文化遺産に対しても活用が期待できます。

B-③ 自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する場面(家庭 第6学年)

ご飯をおいしく炊くためのプログラミング体験を行うことにより、炊飯の一連の手順について理解を深めるとともに、身近な生活にコンピュータ(プログラム)が活用されていることにも気づくことができるようにします。

学習活動としては、炊飯に関する一連の手順についてプログラミング体験を行い、ご飯がおいしく炊けたり炊けなかったりする原因について考え、話し合うなどの活動が考えられます。

この学習では、第5学年での鍋での炊飯の経験を生かし、一連の炊飯の手順が、自動炊飯器にどのようにプログラミングされているかに関心をもたせるのが重要です。

(初出「こどもプログラミング通信」第21号 2019年1月29日発行)