小学校での授業を想定した学習指導案が公開

2020年からの学習指導要領改定を前にして、インターネット上では企業や団体により、実際の授業にプログラミング教育の導入を想定した学習指導案が公開されはじめています。学習指導要領の範囲内の授業において、どのようにしてプログラミングを取り入れていくのか、参考になるサイトを紹介します。

小学校を中心としたプログラミング教育ポータル

実施実例では、学習活動の分類A~Eにわけて様々な実施実例、学習指導計画、ワークシートが配布されています。

プロカリ


掲載の事例はどれも実際に行われた授業のもの。教科のねらいと、プログラミング的思考の育成が関連付けられたものが厳選。学年や教科ごとに分かれている指導案やワークシートも配布されています。また、情報教育の年間計画も公開されています。

プログラミング教育実践ガイド

Computer Science for All(NPO法人CANVAS主催の団体)による授業例や、学習の流れを紹介しています。また、学習指導要領の範囲外も含む様々な取り組みも紹介されています。

プロアンズ

ベネッセが公開しているサイトで、パソコンやタブレットを使った指導案が多く掲載されています。教科のねらいとプログラミングのねらいの両方が記載されています。

その他自治体

(初出「こどもプログラミング通信」第18号 2018年10月29日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第5弾)

E・F分類は教育課程外のプログラミング学習機会

教育課程外における分類として、学校を会場とするE分類と、学校を会場としないF分類があります。地域や企業・団体等において学習機会が用意されるものであり、児童の興味・関心等に応じて提供されることが期待されています。

小学校プログラミング教育の手引では、学校の役割としては、「児童の興味や関心を踏まえて、学習機会を適切に紹介するなど、相互の連携・協力を強化することが望まれます。」とあります。

あわせて手引では、教育委員会が主導し、企業・団体や地域等の人々と連携し、協力を得ている例が7つ掲載されています。

  1. 企業等との連携
  2. 企業等の社会貢献プログラムへの参加
  3. ICT支援員等の活用
  4. 市民ボランティア等の活用
  5. 大学等との連携
  6. NPO等との連携
  7. 学校放送番組の活用

いずれもカリキュラム・マネジメントとして外部の人的・物的資源の活用であり、学校としての取り組みや、教育委員会による支援も重要とあります。

「未来の学びコンソーシアム」に分類別の事例が掲載

各分類に応じた、実際の授業や取り組み事例に関する情報が続々と掲載されています。また、教材情報も充実してきていますので、指導や授業における計画作りの参考になります。

参考サイト:小学校を中心としたプログラミング教育ポータルPowered by 未来の学びコンソーシアム

(初出「こどもプログラミング通信」第17号 2018年9月28日発行)

第2回小学校プログラミング教育を考える夕べを開催

7月18日に「第2回小学校プログラミング教育を考える夕べ」をわくわくホリデーホール(札幌市)で開催いたしました。今回の企画は札幌出身の東京都内在住の小学校教員が中心になって実施しました(主催:さくらインターネット株式会社、後援:札幌市教育委員会、協力:一般社団法人LOCAL)。

プログラムは3部構成。第1部の「プログラミング教育とは?」では、情報通信総合研究所の平井聡一郎氏による講演・模擬授業がありました。第2部は教材体験としてのワークショップの後、各ブースを通して算数、図工、国語を対象としたプログラミング教材に触れ、第3部ではプログラミング教育の実践報告がありました。

当日は教職員の方を中心に、札幌市のみならず遠方からもご参加いただきました。プログラミング教育の実践にはハードルが高いように思われるかもしれませんが、今回の模擬授業や教材の体験を通して、先生自身でプログラミングについて身近に感じられる機会を設けられました。ご参加およびイベントのご紹介・周知へのご協力ありがとうございました。

(初出「こどもプログラミング通信」第16号 2018年8月28日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第4弾)

文部科学省から公開されている「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」について、これまでA~Cの各分類を紹介してきました。今回は教育課程内でのD分類を紹介します。

D分類は教育課程内ありながら、クラブ活動など、特定の児童を対象に実施するもの

前回のC分類は、教育課程での実施、つまり、授業の一環として学校の裁量で実施するものでした。D分類も同じく学校における教育課程内です。しかし、すべての児童が対象ではなく、クラブ活動など、特定の児童を対象としている違いがあります。

児童が協力してプログラムを作成できるようにするためには、学校の創意工夫によって、コンピュータクラブやプログラミングクラブを設けるとあります。また、他の分類とは異なり、教育課程外でのプログラミング機会(E分類・F分類)でプログラミングに関する知識を持つ児童が、苦手な児童に対するサポートの役割を持たせることも書かれています。

例示では、特定の言語環境や教材については示されておらず、

  • 児童の発達の段階
  • プログラミングの経験
  • 作成しようとするものが何か

に応じて適切なものを選択する必要があります。また、漠然とプログラムに取り組むのではなく、発表会を設けたり、プログラミング・コンテストへの参加を促すなども書かれています。

D-① オリジナルアニメーションを作ろう

例示では動的なコンテンツの作成として、キャラクタ等の動きの制御だけでなく、画像や音声についても、自分で作成したいという意欲のある児童が想定されます。

D-② 家で使える便利な機械を考えよう

例示は各教科の学習の中でつくるよりも更に自由な発想で、様々な機械のモデルとそれを制御するプログラムを作成したいという意欲を持つことが想定されます。

これまでにご紹介したプログラミング教育の教材を、児童の段階や興味や用途で使い分けていくことも考えられます。

(初出「こどもプログラミング通信」第16号 2018年8月28日発行)

実施実例:物語を考え、アニメーションをプログラミングする

C分類:各学校の裁量で実施するもの(A,B及びD以外で、教育課程内で実施するもの)

プログラミング教育の手引、C分類の例示に、「例えば、国語科において物語を読む学習をした後、学校の裁量で時間を確保し、物語の中から好きな場面を選び、その場面のアニメーションを作成することなどが考えられます。」とあります。

B分類は、同じデジタル紙芝居作成の内容でも、教科書に載っている文章が主な題材となるでしょう。また、前号で取り上げた事例①の場合「『しかけ』の意味が分かってそれを認識できているか」など、教科のねらいの達成や、それをより深く理解できたかが求められます。

C分類の場合、教科のねらいだけにとらわれずプログラミングでいろいろな授業をつなげ、教科横断で表現や考えを深める授業が期待されます。
例:

  • 絵を描いてアニメーションに取り込む→「図工」
  • 登場人物の気持ちや情景を文章から読み取る→「国語」
  • 効果音、BGMの選択や、実際の演奏をアニメーションに取り込む→「音楽」

神奈川県相模原市立大野小学校の2年生を対象とした公開授業では、物語を作る授業の最後で、物語をアニメーションで作り、感想を伝える例が紹介されています。

プログラミング教材「ビスケット」を使ってプログラミングでアニメーションを作るだけでなく、作った後に理由を聞くことで、
論理的に考えることや文章化することを取り入れています。

ビスケットは画面を通して作業できるプログラミング言語であり、スクラッチと同じくビジュアルプログラミング言語と呼ばれます。スマートフォンやパソコンのブラウザから、簡単に導入できます

参考サイト:Viscuit ビスケット

(初出「こどもプログラミング通信」第15号 2018年7月27日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第3弾)

C分類は教育課程内ありながら、各学校の裁量で実施する授業

文部科学省から公開されている「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」について、前号までは「A分類」と「B分類」を紹介してきました。具体的な例示の有無はあるものの、いずれも学習指導要領と関連付けた実施の位置づけです。

一方、教育課程内で学校が独自の裁量で実施するのが「C分類」です。プログラミング的思考を育むと共に、プログラミングに関する一定の体系的な知識や技能を学ぶことも想定されています。

手引では、学校の裁量で時間を確保するのが前提です。各教科と関連なく実施することも可能ではあるものの、各教科の学習と関連させた具体的な課題の設定により、児童が取り組みやすくなると考えられるとあります。

C-① 各教科等の学習を基に課題を設定し、プログラミングを通して課題の解決に取り組む学習を展開する例(社会5年)

例示は社会科の日本の工業生産における優れた製品を生産する工夫や努力の学習と関連付けて、自動追突防止装置の付いた自動車のモデル製作・追突を回避するためのプログラムの作成が挙げられています。大阪市立苗代小学校の「プログラムロボット学習」が授業の参考になります。http://www.ocec.jp/center/index.cfm/35,17115,279,html

C-② 各教科の学習を基に、プログラミングを通して表現したいものを表現する学習を展開する例(国語)

例示は国語の物語から好きな場面を選び、その場面のアニメーションを作成する授業があげられています。プログラミングによって登場人物が動いたり話したりすることで、登場人物の気持ちや条件を表現し、工夫を話し合うことが考えられます。前号でご紹介したB分類の事例①とは異なり、国語の教科のねらい達成にとらわれず、豊かな表現を楽しみます。

C-③ プログラミング言語やプログラミング技術の基礎についての学習を実施する例

キーボードを使った文字入力や、ファイルの操作など、直接は各教科等の学習として位置付けられてはいません。しかし、後の学習活動を円滑に進めるための学習活動として、学校の判断により時間を確保し、計画的に進められます。

各教科等におけるプログラミングに関する学習活動の実施に先立ち、学校の裁量で時間を確保し、プログラミング言語やプログラミングに関する基礎的な知識や技能の習得などを目的とし、プログラムを体験することも考えられます。

(初出「こどもプログラミング通信」第15号 2018年7月27日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ(第2弾)

『プログラミング的思考』を養うために必要な学習機会とは

前号から引き続き「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」に記載されている内容ついて解説します。

前号では、手引に掲載された「小学校段階のプログラミングに関する学習活動分類」の中でも「A分類」を取り上げて具体的な例をもとに解説しました。

では、小学校では最低限「A分類」のみ実施すれば良いのでしょうか?手引では「学習指導要領に例示した単元等に限定することなく、多様な教科・学年・単元等において取り入れることが可能」であり、「各学校において工夫してたような教科・学年・単元等に適切に取り入れていくことが望まれます。」とあります。

「B分類」では、例示されていない教科においても、教科の内容を指導する中で適宜プログラミング教育を実施することを求めています。

出前授業のメニューの中に、「B分類」を想定したものは入っていませんが、アレンジして取り入れることは可能ですので、是非ご相談ください。

ここでは、公開されている実践事例より具体例をご紹介します。

B-① 「しかけ」のある物語づくり(国語3年)

まずは物語の構成や、「しかけ」になるキーワードを考え、絵コンテを作ります。それに基づき、実際の動きをScratch Jrを使ったプログラミングで表現していきます。「プログラミングができること」が重要ではなく、プログラミングで表現するためには、元となる物語をより深く理解し、伝えたい内容を明確にする必要性が生まれるため、ねらいに向かう意識が高まります。(次コーナーで詳しくご紹介) •

B-② micro:bitで旋律づくり(音楽4年)

教科書を参考に4小節分の旋律をプログラミングで作り、グループの5人で合奏を楽しむというものです。

micro:bitの機能を試しながら、どのようにすればクラスでタイミングのあった合奏にできるかを相談し、方法を確立。音楽の苦手な児童も「合奏が楽しい」と感じることができたり、人の良さ、プログラミングの良さを話し合ったりと、気付きの多い授業となっています。

参考サイト::micro:bitで旋律づくり~小学校音楽プログラミング~

(初出「こどもプログラミング通信」第14号 2018年6月29日発行)

実施実例:「しかけ」のある物語づくり

B分類:学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの

物語を読んでその中の場面を一部切り取り、Scratch Jrを使った「デジタル紙芝居」を作って1・2年生に向けて発表するという国語の授業です。

プログラミングで表現するために、まずは物語をよく読んで切り取れる場面を見つける必要があります。また、どこに物語を読み進むためのしかけがあるのか?それをプログラミングを使うとどんな風に表現できるのか?など、プログラミングをする前に考えをまとめておく必要があり、物語を理解したり、場面のつながりを意識する動機付けとなります。

そして、各ポイントで互いに作品を交換し、友達からアドバイスを受けて修正(デバッグ)することも、プログラミング的思考を養う上で重要な要素と言えます。

ロイロノートを活用する場面と、絵コンテをワークシートに描く場面と、考えの「可視化」をするためのツールとして目的に合ったものを選択していることもポイントです。

Scratch Jr https://www.scratchjr.org/
Scratchがベースの低年齢(5-7歳)向けプログラミング・アプリ iPadとAndroidタブレット用無料アプリとして提供されている

(初出「こどもプログラミング通信」第14号 2018年6月29日発行)

小学校プログラミング教育の手引きを通してねらいを確認し、授業のイメージをつかむ

2020年度から始まる小学校プログラミング教育の円滑な実施に向けて

前号でもお伝えしたとおり「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が文部科学省から公開されています。

これまでにもプログラミング教育の導入にあたっては、学習指導要領や解説をはじめとして、様々な情報が発表されています。新しく公開された手引きでは、これまでのプログラミング教育の議論の経緯だけでなく、各教科の目標・内容を踏まえた指導の考え方や、外部との連携、質問と回答集などが記載されています。

手引きでは、複数の教科・学年を通して情報活用能力を育成することをねらいとしたカリキュラム・マネジメントが大切とあります。

実際に授業や課外活動を通し、どのように学習を進めるかの検討にあたっては、手引きにある学習活動の分類(図1)を考慮する必要があります。A・Bは「単元のねらい」を深く理解する手段としてプログラミング教育を行うもので、教科書にも掲載され、学校教育で最低限実施すべきラインです。

算数、理科、総合的な学習の時間の特定の単元は学習指導要領に例示されているため、A分類にあたります。今回は、A分類について出前授業メニューを例に具体例を説明します。

A-① プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面(算数5年)

例示は Scratch を使っていますが、出前授業ではより簡単に実現できるよう、機能を絞り、チュートリアルを付けた「プログル」という教材を使用します。

A-② 身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面(理科6年)

例示は Scratch を使って通電を制御しますが、出前授業では「micro:bit」のセンサーを使います(暗くなったらLED点灯、明るくなれば消灯)。

A-③ 「情報」を探求課題に設定した学習場面(総合的な学習の時間)

例示はプログラミングで自動販売機を擬似的に再現しますが、出前授業では「身の回りにあるコンピューターを探そう」と「ロボットのお仕事」で、アンプラグドとして信号機の動作をモデルに考えたり、コンピューターの役割とコンピュータを使う人間との役割の違いについて考察したりします。いずれも実際のプログラミングで再現可能です。

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)

実施事例:正多角形をプログラムを使って書こう

A 分類:学習指導要領に例示されている単元等で実施(小学5年生、算数)

図形を構成する要素に着目し、プログラミングを通した正多角形の書き方を発展的に考察したり、図形の性質を見いだしたりして、その性質を筋道立てて考え説明したりする力を確実に育みます。

そのために、正多角形は「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を用いて作図する課題を考えます。

はじめに多角形を定規と分度器を用いて作図を試みさせます。手書きでは長さや角度のずれにより、正確な作図が難しいことを実感します。それから、Scratch のプログラミングを通して正方形の作図の仕方を学級全体で考えたあと、プログラミングによる正三角形や正六角形に取り組みます。

多角形の意味を考察すると、今までに書いたことがない正多角形を書けるとともに、人の手作業では難しかったり手間が掛かったりするのも、コンピューターであれば容易にできると気づくようになれます。

正三角形、正六角形を正しく書くためのプログラム例

参考サイト:https://miraino-manabi.jp/cm/content/111

(初出「こどもプログラミング通信」第13号 2018年5月29日発行)